副業を考え始めたきっかけ(実体験)
出産をきっかけに、自分の働き方やキャリアについて深く考えるようになりました。
それまでは、医師として病院で働くことが当たり前だと思っていました。大学や病院で経験を積みながら、医師としてのキャリアを重ねていく。それが自然な道だと感じていました。
しかし子どもが生まれてから、状況は大きく変わりました。
通勤、保育園の送迎、急な発熱への対応など、仕事と家庭を両立することの難しさを実感するようになったからです。先輩の医師の中には、時短勤務などを利用しながら仕事を続けている方も多くいますが、実際には両親のサポートなど周囲の助けがないと成り立たないケースも少なくないように感じました。
また、医師の仕事は責任が非常に大きく、どれだけ家庭の事情があっても、仕事の場ではミスが許されません。夜中に何度も子どもに起こされたとしても、翌日の診療では集中して判断をしなければならない。そうした現実の中で、これまで当たり前だと思っていた働き方に疑問を持つようになりました。
こうした経験から、「病院で働くことだけが医師のキャリアなのだろうか」と考えるようになり、副業や別の働き方について調べ始めるようになりました。
放射線科医という仕事の現実
放射線科医というと、病棟業務が少ない、外来がないなどの理由から「比較的落ち着いた診療科」というイメージを持たれることもあります。
しかし実際の現場では、必ずしもそうとは言えません。
近年、医療の現場では画像検査の数が急速に増えています。CTやMRIなどの検査は診断の中心となることが多く、さまざまな診療科から依頼が来ます。高齢化の影響もあり、検査を受ける患者さんの数も年々増えている印象があります。
私自身の感覚としても、ここ数年で読影する画像の量はかなり増えてきていると感じています。検査機器の性能が上がり、1回の検査で撮影される画像の枚数も増えているため、読影にかかる時間や負担も大きくなっています。
一方で、読影を担当する放射線科医の数が急激に増えているわけではありません。そのため、現場では限られた人数で多くの画像を読影している状況が続いています。
病院によっては人員が不足していることもあり、欠員が出たときなどは業務がかなり忙しくなることもあります。放射線科は患者さんと直接接する機会が少ない診療科ではありますが、画像診断の需要が増え続けている現在、決して余裕のある仕事とは言えないと感じることもあります。
読影という仕事のプレッシャー
放射線科医の仕事は、画像から異常を見つけ、診断につなげることです。
一見すると静かな環境で行う仕事ですが、その責任は決して小さくありません。
画像診断では、わずかな所見を見落としてしまうことが重大な診断の遅れにつながる可能性があります。そのため、一枚一枚の画像を慎重に確認する必要があり、常に見落としへのプレッシャーと向き合うことになります。
また、画像診断の結果はその後の治療方針に大きく影響します。手術や治療の判断に関わることも多く、診断に対する責任は非常に重いと感じます。
こうしたプレッシャーの中で仕事を続けていくうちに、精神的な負担を感じることもありました。私自身、仕事のストレスから長い間不眠に悩まされた時期もありました。
放射線科医の仕事は患者さんと直接接する機会が少ないため、感謝の言葉を直接聞く機会も多くありません。黙々と画像を読み続ける仕事でもあるため、向き不向きがはっきり分かれる診療科でもあると感じています。
放射線科医のキャリアの限界を感じた
放射線科医として働く中で、キャリアの選択肢について考えるようになったことも、副業を意識するきっかけの一つでした。
医師のキャリアにはさまざまな形がありますが、放射線科の場合は他の診療科と比べて選択肢が多いとは言えないように感じています。多くの場合は、大学病院や市中病院で勤務医として働くという道が中心になります。
また、外科や内科のように自分のクリニックを開業するという選択肢も、放射線科では現実的とは言えないケースが多いのが現状です。画像診断には高額な機器や設備が必要になるため、個人で開業するハードルは高くなります。
さらに、女性医師の場合は妊娠や出産といったライフイベントの影響を受けることも少なくありません。子育てをしながら働く場合、時短勤務などを利用することもありますが、男性医師と同じように仕事に時間やエネルギーを注ぎ続けることが難しい場面もあります。
実際に、緊急呼び出しの多い診療科では女性医師の数が少ないこともあります。また、子育て中は急な欠勤が必要になることや残業が難しいこともあり、職場で肩身の狭い思いをすることもあるかもしれません。現場では、子育て中の医師に対して厳しい意見が聞かれることがあるのも事実です。
一方で、子育てを理由に一度仕事を離れてしまうと、復帰することが難しくなるという不安もあります。そのため、多くの医師が時短勤務などを利用しながら、細く長くでも仕事を続けるという選択をしているのが現実ではないかと感じています。
こうした背景の中で、病院勤務だけに依存しない働き方や収入の形について考えるようになり、副業という選択肢にも関心を持つようになりました。
遠隔読影という働き方を知った
こうした中で知ったのが、遠隔読影という働き方でした。
遠隔読影は、医療機関で撮影されたCTやMRIなどの画像をオンラインで受け取り、自宅などから読影を行う仕事です。インターネット環境と読影用のワークステーションがあれば、自宅で仕事をすることも可能になります。
この働き方を知ったとき、放射線科医には病院勤務以外にも選択肢があるのかもしれないと感じました。実際に遠隔読影は副業として行われることも多く、勤務医として働きながら取り組んでいる医師もいます。
また、遠隔読影の大きな特徴は、場所に縛られにくい働き方ができることです。通勤の必要がなく、自宅で仕事ができるため、生活スタイルに合わせた働き方が可能になる場合もあります。
もちろん、すべての読影業務が遠隔で行えるわけではありませんが、放射線科医にとっては比較的現実的な在宅ワークの一つと言えると思います。
遠隔読影を含め、医師が在宅でできる仕事については、こちらの記事でも詳しくまとめています。
まとめ
放射線科医は、病棟業務や外来が少ないことなどから、比較的働きやすい診療科と言われることがあります。
しかし実際には、画像検査の増加による読影量の増大や、見落としが許されない診断責任の重さなど、別の形の負担もあります。静かな環境で行う仕事ではありますが、その裏には常に緊張感やプレッシャーがあると感じています。
また、キャリアの選択肢が限られていると感じる場面や、ライフイベントによって働き方を見直さざるを得ない状況もあります。特に子育てをしながら働く場合には、これまで当たり前だと思っていた働き方を続けることが難しいと感じることもあります。
副業は単に収入を増やすための手段というだけではなく、将来のキャリアの可能性を広げたり、働き方の選択肢を増やしたりする一つの方法として考えることもできるのかもしれません。
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